誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「あ・・・」


 顔を上げて、唇を重ねた。


 唇を求め合ったまま、シーツにこの身を横たえられ体を重ね合い、さらに強く抱き寄せられる。


 「苦しい・・・」


 隙間もないほどの距離で抱き合うため、息もできないほどなのだけど。


 触れ合うぬくもりは、私をそっと包む快適な布団のように心地よい。


 肌寒い夜には、こうして抱かれていないと凍えそうに思えてしまうほど。


 「もっと・・・」


 もっと愛してほしかった。


 カメラのように私も、その手の中で深く愛され、共に時を感じたいと願った。


 「もっと甘く応えて」


 耳元でさらに感じ合うことを要求される。


 「ありのままにさらけ出して」


 私を求める言葉が肌に浴びせられる度に、この身は震える。


 欲しいという思いが強ければ強いほど、体の奥深くまで感じて・・・吐息が漏れる。


 「和仁さん・・・」


 意識を手放す前に、名前を呼んだ。


 それでもこのまま離れていくのが惜しくて、最後の一滴まで求めるかのように両腕を和仁さんに巻きつけた。
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