誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「・・・まだ疑ってるの?」


 腕の中で問い返した。


 「周りの言葉に踊らされないくらいに、確固たる自信を持って理恵を愛したいんだ」


 「ありがとう・・・」


 そう答えて、贖罪のキスをした。


 「理恵、好きだよ」


 さらに強く抱き返される。


 ・・・佑典は、一瞬でも私と父親との仲を疑ったことを恥じている。


 そんな佑典の思いに対し、顔向けのできないことをしている私は、さらなる恥ずかしさを覚える。


 卒業までには、答えを出そう・・・。


 頭の中で改めて誓い直し、今この瞬間の苦悩から逃れようとしている。


 再び重ねられる唇。


 真夏の終わり、今年最後であろう熱帯夜は静かに更けていった。


 風が緩やかに吹きぬける。
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