誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「・・・」


 食事を終えて、帰り道。


 私たちは手を繋いで、並木道を歩いていた。


 ・・・これが佑典のいう「お仕置き」だった。


 「公衆の面前で手を繋ぐのは恥ずかしい」と主張する、私の意見は封殺され。


 人前で堂々と手を繋ぎ、道を行く。


 ここは街の中心部。


 昔からの知り合いや学内の顔見知りに見られたら、やっぱりちょっと恥ずかしい。


 ここから私の学生寮までは地下鉄で一駅の距離だけど、一緒の時間を過ごしたくて徒歩で帰宅。


 門限は、用事などがあって事前に申告しない限りは通常23時。


 それに合わせて佑典は私を送り届けてくれる。


 季節はそろそろ夏本番。


 半袖でもちょうどいい夜風が心地よく、街路樹の隙間を吹き抜けていく。
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