あんたは私の敵よ!!<完>
キャー!!キャー!!


今朝も、決まった時間に女子生徒の黄色い悲鳴が学校中を駆け巡る…


そう、私の天敵のお出ましだ!



明る過ぎる茶髪に、片方にだけ開けたピアス。

家柄や、成績の良い学生が集まると言われるこの私立高校には、どう考えてもふさわしくない風貌の、この男…


【葉山 聖(ひじり) 17歳】


この4月から、うちの学校に転校してきた途端、女子生徒の憧れや羨望の眼差しを一気に集結し、男子生徒の一部を手下にまでしてしまったという、我が校の“毒リンゴ”とも言える存在。


確かに、イケメンの部類には入るんだろう…
でも、一見、美味しそうに見えても、中身は毒…


そんなヤツだ!



私は、どうしてもコイツが気に入らない!!


大した努力もしてないくせに、勉強もスポーツも出来て、人気も信頼も一気に集めやがって!!!!


あら…
私とした事が、少し言葉遣いが荒くなってしまいましたわ…


そして、不幸な事に、ヤツが転入してきたのは、私のクラス…

…では無く、私の隣のクラス。


クラスが近いと言うだけで、これほどまでにも不快な思いをさせられる事になろうとは!


徐々に近くなってきた奇声が、隣の教室に吸い込まれていった…


小さく私は呟く…

「あんな男のどこがいいわけ?」
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