あんたは私の敵よ!!<完>
学校までの桜並木。

ついこの間まで、ピンクと、その合間に見えるスカイブルーの景色を見ていた筈なのに、今ではすっかり、鮮やかなグリーンに染まっている。

爽やかな風に吹かれ、緑も心地よい音楽を奏でているようだ。


この自然を感じていると、自分が頑なに守ろうとしていた物が、実はどうでもいい事だったのだとよく分かる…


…?

向こうに、誰かが桜の木に寄りかかっている。

誰かを待っているのかしら…


近づいていくと、それが誰か分かった。

…葉山だ…


私はペースを変えずに進む。


葉山の前を通り過ぎようとした時、

『待って!
 …もしかして、るり?』

腕を掴まれた。


「毎度、腕を掴むのね…」

私は笑いながら質問に答えた。

『るり…
 多分、派手な“いじめ”はもう無い筈だ。』

「何か言ったの?」

『根性悪い女は嫌いだって叫んで回った。』

「あははは!
 それでおさまるかなぁ?」

『おさまらなければ、俺が守る!!』

「ぷっ…
 まあ、期待してないけど…」

『ひでぇ…
 でも、るり…今の方が全然良い顔してる!
 そんなるりも、やっぱり好きだな…』

「あぁ、はいはい。」


少し前まで、目くじらを立てていた相手と、こんな笑って話す日が来るなんてね…

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