私の彼氏はおデブさん
* * *
通された藤崎君の家の一階にあるリビングは、久しぶりに来たけど相変わらず広い。
付き合ってた頃にまだ新築って言ってたから綺麗だし、幼稚園の頃からアパート暮らしの私には羨ましい。
テーブルの前の床に座ったまま、私はソファに座った藤崎君と私の横に仁王立ちした相沢さんの会話にのんびりと微笑みながら耳を傾けた。
「マジどうかしてんじゃねーの!?この暑い中外で待たせるなんて!!この美少女二人を!!」
「……勝手に俺の家に泊まるとか言うからだろ。大体何でいきなりこんな事になってんだよ」
「ダイエット合宿だよ!ダイエット合宿!痩せ方教えろよ!」
「絶対嫌。帰れ」
怒鳴る相沢さんに向かって無愛想に答えると、藤崎君はチラッと私の方を見る。
(そういえば私、怒らせてたんだった……まだ怒ってるかな?)
ごくっと息を飲む私をジロっと睨むと、立ち上がってリビングから二階に上がっていく藤崎君に、私は急に心臓がドキドキしてきた。
(やっぱりまだ怒ってる……!)
「藤崎のケチ!!またかよ!!痩せ方ぐらい教えてくれたって良いじゃん!!」
「しょうがないかもね……洸太、昔の事は忘れたいみたいだし」
相沢さんの事をなだめると、ソファに座っている清武君は私の方を見た。
何か言いたそうな目で。
そんな風に見られたら、気になる……。
「清武君、何……?」
「これ言うと橘さんが気にしちゃうかもしれないけど。ダイエットしてた時の洸太、ずっと橘さんの事嫌いになりたいって言ってたよ」
「え……」
「洸太は橘さん達の話を聞いちゃった時から、自分の事を否定されてるって思ってるんだよ。許せないぐらい、橘さんのことが好きだったんじゃないかな?だから痩せた今も、立ち直れなくて自分に自信を持てないみたい」
「私、どうしよう……謝ってすむ問題じゃないよね……でも、謝る事しか思いつかない」
清武君から目を逸らしても、清武君が穏やかにほほ笑んでいるのが分かった。
「ふふ、じゃあ謝る変わりにキスしてあげたら?まだ洸太の事好きなんだし、簡単でしょ?」
「……キス……?」
(簡単って言われたって……そりゃ藤崎君の事大好きだけど……)
通された藤崎君の家の一階にあるリビングは、久しぶりに来たけど相変わらず広い。
付き合ってた頃にまだ新築って言ってたから綺麗だし、幼稚園の頃からアパート暮らしの私には羨ましい。
テーブルの前の床に座ったまま、私はソファに座った藤崎君と私の横に仁王立ちした相沢さんの会話にのんびりと微笑みながら耳を傾けた。
「マジどうかしてんじゃねーの!?この暑い中外で待たせるなんて!!この美少女二人を!!」
「……勝手に俺の家に泊まるとか言うからだろ。大体何でいきなりこんな事になってんだよ」
「ダイエット合宿だよ!ダイエット合宿!痩せ方教えろよ!」
「絶対嫌。帰れ」
怒鳴る相沢さんに向かって無愛想に答えると、藤崎君はチラッと私の方を見る。
(そういえば私、怒らせてたんだった……まだ怒ってるかな?)
ごくっと息を飲む私をジロっと睨むと、立ち上がってリビングから二階に上がっていく藤崎君に、私は急に心臓がドキドキしてきた。
(やっぱりまだ怒ってる……!)
「藤崎のケチ!!またかよ!!痩せ方ぐらい教えてくれたって良いじゃん!!」
「しょうがないかもね……洸太、昔の事は忘れたいみたいだし」
相沢さんの事をなだめると、ソファに座っている清武君は私の方を見た。
何か言いたそうな目で。
そんな風に見られたら、気になる……。
「清武君、何……?」
「これ言うと橘さんが気にしちゃうかもしれないけど。ダイエットしてた時の洸太、ずっと橘さんの事嫌いになりたいって言ってたよ」
「え……」
「洸太は橘さん達の話を聞いちゃった時から、自分の事を否定されてるって思ってるんだよ。許せないぐらい、橘さんのことが好きだったんじゃないかな?だから痩せた今も、立ち直れなくて自分に自信を持てないみたい」
「私、どうしよう……謝ってすむ問題じゃないよね……でも、謝る事しか思いつかない」
清武君から目を逸らしても、清武君が穏やかにほほ笑んでいるのが分かった。
「ふふ、じゃあ謝る変わりにキスしてあげたら?まだ洸太の事好きなんだし、簡単でしょ?」
「……キス……?」
(簡単って言われたって……そりゃ藤崎君の事大好きだけど……)