1年8ヶ月ぶりの片想い
第一章
私は野球が好きだった。


甲子園や、プロ野球、メジャーリーグ
そういう野球ではなく、
自分の学校の野球部が大好きだった。


三つ子の兄の陸が野球部に所属していて、
三つ子の妹の海と試合を見に行く。
それが休日の楽しみだった。


中学時代。
真面目とは言えない性格。
お調子者の盛り上げ役で、涙脆くてカッコつけ。だけど笑った時に出来るエクボが可愛いくて、彼はそんな人だった。


北山 龍。
中3の秋にメールで告白。

それからずっと一緒にいて、
1年8ヶ月傍にいた。
中学ではサボりぎみだった部活も、高校になって野球部に入り龍は変わった。

誰よりも野球を楽しむ姿が大好きだった。
カッコつけで、入学したばかりの頃は嫌がっていた坊主頭も、高2の夏の大会前には率先して頭を刈った。


そんな彼が大好きだった。

ただ、寂しかった。


うちの高校の野球部はどちらかと言えば弱小。
だけど私は野球部全員が好きだし、少ない人数で頑張る彼らを尊敬していた。


だけどやっぱり寂しかった。


休日に遊ぶなんてなかなかできないし、
大会が近くなったらLINEも電話も出来ない毎日が続く。
毎日同じ教室にいるのに、話しかけるのは自分からで龍はまったく寂しそうな素振りは見せなかった。


その時の私はまだ幼く、
寂しさを耐えている男の子の気持ちに気づいてあげられなかったんだ。



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