キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
 

「ほら、りぃにも坂本さんのこと頼まれてるから。坂本さんの様子が少しおかしいかもって言ったら、“すぐに偵察してこい!”って言われてさ」

「璃世がそんなことを?ふふっ。私、いい友達持ってますね」

「りぃは坂本さん大好きだから。たぶん、俺のことよりも」

「ふふっ、それは光栄です。私なら大丈夫だと璃世に伝えておいてもらえますか?先週はちょっと気分が乗らなかっただけだったって。ほら、天気も悪かったでしょう?」

「……あぁ、わかった。坂本さんがそう言うなら」


伊野局長は少し納得いかない表情だったけど、笑顔で私の言葉を受け取ってくれた。

璃世が心配してくれるのはすごく嬉しいけど、妊婦さんに変な心配をかけちゃいけない。

こんな風に仕事仲間にしっかり目を配ってくれている伊野局長にも迷惑かけたくないし、仕事も今まで通りしっかりやっていかなくちゃ。

余計なことは考えちゃダメ。

……そのためにも、虎谷先生のことは早く忘れた方がいい。

よし、と私は気持ちを切り替える。


「璃世こそ、調子はどうなんですか?この前会いに行った時は元気でしたけど」

「あぁ、今も悪阻の時期が嘘だったかのように元気すぎるよ。すっごい食うから、“あまり食べるな!”って医者に怒られるってよく愚痴ってる」

「ふふっ。璃世、食べることが好きですもんね。でも元気なら良かったです。まだもう少し先ですけど、赤ちゃんの顔が見れるの、私も楽しみにしてるんです!局長もでしょう?」

「うん。それはもう」


幸せそうに笑う局長に、私まであたたかい気持ちになった。

愛する人との子どもがこの世に誕生するなんて本当にすごいことだし素敵なことだもん。

それが周りに伝わって、一緒に幸せを感じることができるほどの大きな奇跡。

無事に生まれますように、と私は心から祈る。

そのうちまた、コタロウと一緒に璃世に会いに行こう。

 
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