キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
「……何だよ。いーとこだったのに邪魔すんなよ、コタロウ」
「!」
虎谷先生はむっとした表情でそう呟き、コタロウのお腹をむにむにとつまむ。
先生は反撃しているようだったけど、コタロウはというとその触られ方が気持ちいいのか、目を細めてなーおと鳴いた。
「……あーあ。もう」
「!」
「コタロウには敵わねぇよな。な?」
「……はい。ふふっ」
コタロウから私に向いた虎谷先生の表情はやっぱり何となくふてくされた感じで、私は可笑しくなってつい笑ってしまった。
何かかわいい。
先生の顔を見ながらくすくすと笑っていると、先生の顔も緩み、口元に笑みを浮かべて開いた。
「……やっと俺に笑ってくれた」
「!」
「やっぱり嬉しい」
ホッとした表情を浮かべられて、私の心臓がドキッと跳ねる。
何だか恥ずかしくなってしまって目線をそらそうとした瞬間、再び先生の唇が私にちゅっと軽く触れ、離れた。
私がその行動にびくっと身体を強張らせてしまっている間に、先生は「コタロウ、これからは半分こだからな」とよくわからないセリフを言って、コタロウといつも遊んでいるリビングの真ん中に歩いていってしまった。
コタロウと遊び始めた先生の耳が、ほんの少し赤く見えるのは気のせいだろうか。
コタロウと遊べることが嬉しいから?
それとも……
そんなことを疑問に思いながら、私はふたりが遊ぶ姿を横目にキッチンに向かった。
グラスにアイスティーを入れながら、リビングで遊んでいる二人の存在を感じる。
これがこの先も続いてくれるんだよね?
……今日の出来事……今のこの状況は夢じゃないよね?
どたばたと聞こえるコタロウの足音と、先生のコタロウを呼ぶ声。
私はそれを全身で感じながら、グラスを持ってリビングに向かった。
……その光景がいつまでも続きますように、と願いながら。