キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
 

きょとんと3人のことを見てしまっていると、樹さんの目線が私を向き、優しい笑顔を向けてくれて頭をぽんと撫でてくれた。


「みーこ。ごめんな?何か変なのに巻き込んじゃって」

「や、あの……」

「えっ?樹!お前、いつの間にそんなかわいい彼女できたんだよ!?」

「あーもう、いちいち吠えるな。彰には関係ないだろ?」


彰さんの大声に樹さんは耳を塞ぎながら、呆れたように言葉を吐く。

……何だか、樹さんもいつもより……何ていうか、子どもっぽい?


「関係あるさ!親友なんだからっ!」

「樹と親友だなんて調子乗るのもいい加減にしなさいよ!それに樹の彼女は坂本さんじゃなくて、私なんだからっ!」

「はぁ!?お前、まだそんな馬鹿なこと言ってんのかよ!?もうお前は捨てられたんだから、いい加減諦めて素直に俺の胸に飛び込んでこいよ!」

「はぁ?バッカじゃないのっ!?っていうか、捨てられてなんてないもん!」


いつもとは全く違って、西岡さんのあまりにもかわいいしゃべり方と表情に、私はまたポカンとしてしまう。

病院ではあんなに大人っぽいのに……こんな風に話していると、私と同じ感じだ。


「あーもう、めちゃくちゃだな。後でちゃんと話すから。とりあえず、ここから抜け出すのが先だな」

「……はぁ」


ぼそっと私にだけ聞こえるように樹さんが言ってくる。

そのことには全く気付いていないらしい西岡さんと彰さんは何やかんやと言い合っている。


「彰、菜々。後は二人で勝手にしろよ?夫婦喧嘩に俺たちを巻き込むな」


はぁ、と呆れたように言った樹さんに、


「まだ夫婦なんかじゃないもん!」

「夫婦喧嘩は犬も食わない!ってか!?樹は相変わらずうまいこと言うな!」


西岡さんと彰さんの息の合った(?)ユニゾンが樹さんに返る。

そんな二人の言葉をスルーして、樹さんはいつもと同じ優しい笑みを向けて私に言葉をかけてくれた。


「そういうことだから、みーこは何も心配しなくていい」

「……」


樹さんはそう言ってくれたけど、衝撃過ぎる事実に私はただポカンとすることしかできなかった。

 
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