キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
7.キミとネコとひなたぼっこと。

~家族

 
***


「今日は無理言ってごめんなさい」

「いや、全然。まぁ、確かに驚いたけどな」


ある晴れた休日、私と樹さんとコタロウはある場所に向かっていた。



○。


数日前、璃世と電話をしていた時のこと。

璃世は出産予定日を少し過ぎた頃で、でも初産ということもあってまだまだ赤ちゃんは産まれる様子がなく、『旦那に似て、のんびり屋なのかしらね~』と笑って話していた。

そして、私の話を振られてしまえば、私がコタロウの話をしていても、いつの間にか樹さんの話になっていた。

璃世は樹さんがどんな人なのか、とにかく気になっているらしく、なんやかんやと聞いてくるのだ。


『日曜日もセンセイに会うんでしょ?』

「うん。天気良さそうだから午前中少し出掛けて、午後は家でコタロウも一緒に過ごそうかなって」

『それ、うちに変更しない?もちろんコタロウも連れてさ。私、センセイに会ってみたい』

「えっ?」

『いいでしょ?美夜子に見合う男なのかも見極めなきゃいけないし。この前の話だけじゃ、ただの頼りない男よ。そんなの美夜子の相手として許すわけにはいかないもの』

「いや、璃世?見極めるって、何?許すって、何?」


璃世のかなりの上から目線に苦笑してしまう。

きっとお決まりの冗談だろう、と思ったのに。


『よし、決まりね!昼過ぎくらいに来てくれたらいいから。やだー、楽しみ!』

「え、ちょ、本気なの!?」

『当たり前でしょ?私にはその義務があるんだから。あっ、旦那呼んでる。またマサコのご機嫌損ねたのかも。じゃあ、日曜日待ってるからね~』

「あっ、璃世っ!?」


あれよあれよと話を進められ、気付いた時に私の耳に届いていたのは、虚しくも電話が切れてしまったプープーという音だけだった。

というか、璃世はいつの間にそんな義務を背負ったのだろうか?

私は電話を切りながら、思わず思っていることを口に出してしまう。


「もう……っ、出産予定日過ぎた妊婦とは思えないっ!」


○。

 
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