キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
 

「これからコタロウのこと、よろしくお願いします」

「はい。気になることがあればいつでも聞いてください。では、今日はもういいですので」

「ありがとうございました」


私は虎谷先生にぺこっとお辞儀をして、「おうちに帰ったらたくさん遊ぼうね」とコタロウに言って、コタロウをキャリーバッグの中に入れる。



この3週の間に何度か虎谷先生に診てもらってきたけど、回数を重ねても距離が近くならない感じが抜けなかった。

森本先生と違って治療以外の時は積極的にはコタロウには触れてこないし、雑談なんて全くないし、獣医としての仕事を淡々とこなして終わり。

動物が嫌いとかそういう風に感じるわけではないし、むしろ動物には真っ直ぐ向き合っているとは思うんだけど……必要以上には患者には触れない。

無駄のない対応。

そんな印象だった。

もしかしたらおしゃべりと動物が大好きな森本先生のやり方が変わっているだけなのかもしれないし、虎谷先生の『感情を表に出さずに淡々とした態度で必要なことだけを話す、クールな性格』から考えるとこれが普通なのかもしれない。

森本先生も「人それぞれ」って言ってたし。

でもやっぱり何だか物足りないというか、そっけなさすぎる気がしていた。

……病院の雰囲気はあたたかいと感じるし、治療や説明は的確で丁寧で安心できるし、動物のことをしっかり診てくれるいい獣医さんだとは思うから、問題はないんだけど、ね。

 
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