キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
お会計を済ませて帰ろうとした時、私は虎谷先生に聞かないといけないことがあったことをふと思い出した。
コタロウの餌のことだ。
コタロウは少し肌が弱いらしく、以前アレルギーが出てから、森本先生にすすめられたアレルギー用の餌をあげるようにしていた。
会計業務も兼任している動物看護師さんに聞いても良かったんだけど、やっぱり最初は先生と話をしたくて、病院のお昼休みに入ったところだったけど私は許可をもらって虎谷先生のところに向かった。
こんこん。
「失礼します。……虎谷先生?」
「あら?坂本さん。どうされました?」
虎谷先生がいるはずの診察室を覗くと、そこには動物看護師の西岡さんがいて、カルテや器具を片付けているところだった。
西岡さんはコタロウが怪我をした時にいち早く様子を見てくれた美人看護師さんだ。
虎谷先生の助手を担当している人で、その手際はすごくいい。
仕事のできる女性。そんな印象だ。
部屋内を少し見渡してみたけど、虎谷先生はいないようだった。
もしかしたらもう、お昼に行ってしまったのだろうか?
「あ、西岡さん。あの、虎谷先生にお話があって……今いらっしゃいませんか?」
「虎谷先生なら、隣の部屋に患者さんの様子を見に行ってますよ。隣の部屋ならコタロウくんが入っても大丈夫ですので、どうぞ」
「わかりました。ありがとうございます」
「いいえ」
西岡さんのにっこりとした笑顔に見送られ、診察室のドアを閉める。