キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
クールな虎谷先生だけど、動物への接し方や丁寧な対応に患者さんも安心しているんだろう。
だからこそ、慕われる。
……そして、それは私も例外ではない。
「……もちろんです。先生がいつも動物に対して真剣だということはよーくわかってますし、何よりもコタロウへの接し方見てたら、明らかですもん。コタロウが怪我をした時もしっかり丁寧に治療してくださったし、さっき遊んでいる時だって。いつも真剣にコタロウに接してくださっていることはわかるから、これからもお任せしたいです」
「ははっ。こうやって面と向かって言われるとちょっと照れるな。でも、そういう風に見てもらえるのは獣医として認められているみたいで嬉しいよ。何だか坂本さんにはこれから頭が上がらなくなりそうだな。こうやってコタロウとも遊ばせてもらってるし」
「い、いえ、そんなこと」
本当に嬉しそうな表情が虎谷先生の顔に浮かんでいて、どきんと心臓が跳ねてしまう。
真面目な話をしているのに、何で私の心臓は虎谷先生といるとこんなに元気になってしまうのだろうか?
「それに、その目」
「え?」
「……そんな風に真っ直ぐ見られると、隠し事もできない気がしてくる」
「!」
「なんてな、くくっ」
先生がそんな風に言う真意はわからなかったけど、その意味を聞くことはできず、私はただそのまま虎谷先生のことを見ていた。
でも、虎谷先生の目線は違う対象に移ってしまっていた。
その対象とはもちろん、コタロウだ。
「コタロウ、早く起きねぇかなー」とオアズケを食らってしまった虎谷先生は拗ねたように言いながら、優しい目をしてコタロウのことを見つめる。
寝ているところを起こしてまで遊ぼうとしない辺り、動物の気持ちを本当に大事にしていることが伝わってくる。
こんな先生が担当医のコタロウは、幸せものだと思う。
……そして、私も。
こんな風に虎谷先生と話せて、素顔を見ることができて、何だかすごく得をした気分で……何よりも嬉しかった。