キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
公園で虎谷先生とばったり出会ったのは先々週のこと。
そして、先週も。
先々週よりも少し遅い時間に買い物を済ませて公園に向かっていると、その途中で偶然虎谷先生と出会い、「またネコちゃん探しですか?」と聞くと照れたように先生は笑った。
そして先々週と同じようにコタロウの相手をしてもらうことにしたんだ。
その時、虎谷先生は先々週とは違うおもちゃを隠し持っていて、その可愛さに胸がきゅんとしてしまったことは言うまでもない。
先生の素顔を知ってから、ふとした拍子に私の頭の中には先生のいろんな表情がぐるぐると回るようになっていた。
今週は雨で憂鬱な気分をどうにかしたかったからなのか、コタロウと遊ぶ先生の楽しそうな笑顔が浮かぶことが多くて。
そのたびに何だか“本物の虎谷先生”に無性に会いたくなってしまっていたのだ。
この気持ちの意味することが何なのかはまだよくわからないけど……少しずつ大きくなっていく気持ちに、『もしかしたら……』と気付き始めたのは、つい数日前のことだった。
……なーんて。きっと、虎谷先生の見せるギャップがちょっと気になっているだけ。
ただ、それだけのことだ。
そこには特別な感情なんて、あるはずはない。
私がそう自分に言い聞かせ、くすりと笑った時だった。
バタンッ!
「!!」
大きな音を立てて、いつもコタロウがお世話になっている診察室のドアが開いた。
つまり、虎谷先生がいる診察室だ。
突然の音に驚いてしまった私はびくっと身体を震わせてしまう。
何かあったのだろうか、とドキドキしながら、私は音が聞こえてきた方向に目線を移した。