キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
「好きな人ができたのも久しぶりすぎるし、どうせどうにもならないってわかりきってるから、気持ちを持て余してるんだよね。この年で不毛な恋してる私ってバカなんだと思う」
「……美夜子」
「え?」
今の今まで頬杖をついてニヤニヤとしながら私のことを見ていたのに、璃世は突然真剣な表情になって私を真っ直ぐと見てきた。
璃世は大学のミスコンで優勝しちゃっていたくらいの美人で、そんな美人にすごむように見られると怯むのが凡人ってものだ。
つまり、凡人の私は例に漏れず、怯んだ。
「私たち、もう若くないのよ?目の前の餌にはどんどん飛びつかなきゃいけないの!わかるでしょ!?」
「う……っ、それは……そうだけど」
「諦めるなら諦めるで、ちゃんと当たってからにしなさいよ?」
「……砕けるのが目に見えてるのに?」
「そんなのわからないわよ。人生、何が起こるかわからないんだし、どんな人間にだってチャンスはあるし、逆転ホームランの可能性もゼロじゃないんだから」
そんなの、きれいごとだよ。
砕けても私が傷つくくらいならいい。でも……
「砕けた時に病院に行けなくなるのが嫌なの。だって、コタロウはどうするの?虎谷先生だって、コタロウには会いたいだろうし……それを私の一方的な想いだけで、今の関係を崩す権利なんて私にはないんだもん」
「はぁ。相変わらず人のことばっかりね。仕方ない子なんだから」
「……」
「さっきも言ったけど、もう若くないんだからいい加減自分のことも考えなさいよ。それに、動く前に“ダメ”って決め付けるのは、美夜子の悪い癖なんだから。やる前から結果もわからないのに“試合終了”なんて、人生もったいないじゃない」
「!」
「“コタロウを飼う!”って決めた時の美夜子はキラキラしてた。私は“恋”に対しても、美夜子にはキラキラしてほしいと思ってるの」
「でも」と言おうとしたけど、真剣な璃世の表情を見ると何も言えなかった。
璃世の言う言葉には納得できるし、何よりも説得力があるから。
こんな風に言ってくれる存在がいることはすごく幸せだな、と常々思うんだ。
言ってもらえるうちが、きっと花なのだ。