いつだって。
自分で呼び止めたくせに
言いたいことが声にしようと
すると出てこない。
「えっと...その...」
俯いているあたしの方に
先生が近付いてきた。
「先生...?」
「具合が良くなったら
今朝渡したアドレスに連絡して」
長島先生に聞こえないように
小声で耳打ちしてきた先生。
コクンと頷くと
”ポンッ”
と、頭の上に大きくて暖かくて
優しい手がふわりと乗った。
「じゃあ、また明日」
ニコッと笑った先生の口元には
さっちゃんとはちょっと違った
可愛い八重歯があった。