いつだって。


自分で呼び止めたくせに
言いたいことが声にしようと
すると出てこない。

「えっと...その...」

俯いているあたしの方に
先生が近付いてきた。

「先生...?」

「具合が良くなったら
今朝渡したアドレスに連絡して」

長島先生に聞こえないように
小声で耳打ちしてきた先生。

コクンと頷くと

”ポンッ”

と、頭の上に大きくて暖かくて
優しい手がふわりと乗った。

「じゃあ、また明日」

ニコッと笑った先生の口元には
さっちゃんとはちょっと違った
可愛い八重歯があった。
< 49 / 344 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop