車内恋愛。
7月になり、教習所に笹の葉が用意され、七夕の短冊を書けるようにロビーには用意されている。

7月7日には七夕祭りとして、風鈴に絵を描くイベントをする、という告知ポスターも貼られてある。

もう通い始めて1ヶ月が経つんだな、と思った。


2段階も順調に学科を受け、間に技能も受ける。


しかし、瀬口先生には当たらない。



この前もカードを通し、瀬口先生でないことにショックを受け、ロビーで待っていた。

先生は来てるのかな?って。
今日は休みだったりして?って。

すると、受付の奥でうろちょろしてる人が。
「ははは。」
「それは違うだろ〜。」

そんな感じの会話が聞こえてくる。
教官同士も仲が良いんだな、って。
パッと見ると…瀬口先生だったんだ。
先生は少し髪を触る癖がある。後ろ姿しか見えなかったけど、髪を触る仕草を見てわかった。

ー先生来てるじゃん!いるじゃん!


この担当ってどうやって決まってるのかな。
全部パソコンでのランダム?
指名制じゃないから私から決められない。


「森川さーん。」
「はい。」
2段階になって技能は今日で5回目。
だけど、瀬口先生には全く当たらず、毎回初めて担当してもらう教官ばかり。
毎回がはじめまして。になっている。

「今日担当します、瀬口です。原簿見せてもらいますね。」
そんな私の隣で瀬口先生は担当する男の人の原簿とにらめっこしてる。

「じゃあ、森川さん、行きましょか。」
「はい。」
私は瀬口先生に目線を向けながら階段を降り、車のところへと移動した。


どの教官でも教習自体はすごく楽しい。

だけど、瀬口先生への気持ちがわかったことで、更に気持ちが高まってるように思う。
以前よりも気になっちゃう。

だけど、そうなればなるほど、先生が担当になることはなくなった。

この前に話したのは仮免学科試験後に送ってもらったとき。
あれからもう2週間が経とうとしてる。

瀬口先生が学科を担当してることはないし、話せる機会は技能で担当になってもらうことくらい。
なのに、全く当たらない。

もう、私のこと、忘れちゃったりしてないかな?

そんな心配までしてしまう。

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