彼のヒーローヴォイス
沖縄でのPVの撮影は、天気にも恵まれて順調に進んだ。
私の気がかりだった水着は、ボトムはデニムのショートパンツで、
トップスは、いわゆる三角ビキニだけど
スポーティな感じだから、いやらしくなくって動いてもフィット感あって
私にピッタリなものだった。
さすが、ハナちゃん!
対して、リナの水着は、リナの可愛さを引き出すフリルがついた甘カワ全開の水着だった。
対照的なのがかえってお互いの良さを引き出していたみたい。
ただ…
この沖縄撮影に普段顔を見せることのない社長が来て、
あることを要求して、とんぼ帰りしていった。
あること…というのは…。
7月デビューの1週間前発売の週刊誌に、私とリナのグラビアを載せる、といい
それ用のカメラマンを連れてきたのだ。
それに対して、専務がかなり抗議をしてくれたのだけど、
その願い空しく、明日、決行されることになってしまった。
リナも最初は荒井さんに、文句をぶつけていたけれど、
読モの仕事で意に副わないものでもやってきたモデルとしての根性があるのか、
最後には明日頑張る、と宣言していた。
私だけ、素人のまま…。プロになりきれない…。
こんな時、純一なら、どうするの?
電話をかけても、きっとこの時間は出ないだろうから、メールで“話したい”ことだけを連絡入れて、
スマホを握りしめ、一人、部屋でベッドの周りをウロウロとするしかなかった…。