その恋愛は、恋愛ですか？
恋を鼻で嗤う男
「あれ、依子いるのか。今日はバイトじゃなかったっけ？」


　やっと帰ってきた。


　丸一日ぶりに見た彼氏の姿に、私は思わず抱きつきたくなるのを抑えて、作り笑いを浮かべる。


　今日は流石にイチャつく気分じゃない。



「おかえり、ケイちゃん。―――う、うん。ちょっと体調が悪くて、休んじゃった」



　本当は違う。


　一晩中、『友達』と飲み明かしているであろう彼のことが心配で、帰りを待つべく仮病を使ってバイトを休んでしまった。

　

「昨日は――――サークルたのしかった？」



　危ない。


　昨日はどこに行ってたの？　そんな言葉が口からこぼれそうになるのをなんとか堪えた。


　サークルに行ってたのは分かってる。



「いやぁ。田辺さんっているじゃん？　あの娘が彼氏に振られたらしくってさ、空気最悪だったよ」



　大学のサークル仲間と遊ぶのが大好きな彼。


　特に、土曜日は彼のサークルの活動日だから私はいつも憂鬱だった。


　彼は土曜日になると決まって、サークル仲間と市民体育館で体を動かしてから、皆で食事に行き、そのままカラオケに行ったり、飲みに行ったりしている。


　そして、二回に一回はこうして日曜日の朝まで帰ってこない。
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