その恋愛は、恋愛ですか?
 しばらく、私は彼氏のことについて一方的に話した。


 その間、恋次さんは何一つ口を開くことなく、たまに相槌を打ちながら真剣に聞いてくれていた。



 私が話し終えると、恋次さんは穏やかに質問を始める。



「まず、君と彼氏は同棲して3年が経過してる。間違いないね?」


「はい、先々月で3年になりました」


「家事はどっちが担当してるんだい?」


「ほとんど全部、私です。最初のころは彼も料理を作ってくれたりしましたけど、今はゴミ出し以外はなにも」



 その言葉に少しだけ悪意がこもってしまった。


 本当は、私から「家事は任せて」と言ってしまったのが原因だけれども、きっと心のどこかで、「あんなに一生懸命尽くしたのに、なんで……」という不満が募っていたんだと、このときに初めて気が付いた。


 恋次さんは、私が話すことを手元の手帳に次々とメモしていく。


 
「生活費はどっちが、どれくらい出してる?」


「えっと、彼は電気代と水道代を全部払ってくれてますけど、家賃や食費は私です」


 
 正確には、家賃だけはうちの親が払ってくれているけれど。



「なるほど、不公平だね」


「いえ……。元々、今のアパートは私が借りてるものでしたから……」


「その電気代や水道代は、彼氏名義の口座からの引き落としかい?」


「いえ、請求書が届くので、それをコンビニとかで支払う形です」


「じゃあ、君の名義の請求書か」


「はい」



 恋次さんは少し困ったように、万年筆の背で頭を掻いた。


 このあたりで、少し変だなって思い始めた。


 もっと、「彼氏にこんな話をするべき」とか、「彼氏とこう接するべき」とか、そんな話をされるのだと思っていたからだ。


 なんだかすごく事務的で、機械的で、無機質な質問が続く。
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