サヨナラからはじめよう
「全て今日話すつもりだったんだ。涼子、お願いだから話を聞いてくれないか」


彼の放つ言葉が不思議なほど静かに頭の中を巡って消えていく。
何も心にとどまらない。

････もう何一つ。


「････成功だよ」

「え･･･？」

口から自嘲めいた笑いが零れてくる。
司はそんな私をただ戸惑いの眼差しで見つめることしかできない。

「3年前あんな形でいなくなった私に復讐したかったんでしょ？･･･見事成功だよ」

「それは違うっ！！本当にそれだけは違うんだ！涼子、頼むから俺の話を･･･」

「もういいよ。････出てって」

激しい否定を見せる司の言葉を遮って言った。
司がその言葉に息を呑むのがわかった。

「涼子･･･お願いだ。少しだけでも話を聞いて････」

そこまで言った司の顔がハッとして止まった。
視線が一点に集中して身動きすらとれずにいる。


パタッパタッ････


いつの間にか私の頬を伝っていた涙が静かに足元に零れ落ちていた。

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