サヨナラからはじめよう

「涼子さん、お水です」

「・・・ありがと」



結局、司の登場によりますます悪酔いが進んだ私を中村君は部屋まで送り届けてくれた。
『送り狼には絶対になりませんから安心してください』と言って。

その言葉通り、甲斐甲斐しくベッドにぐったり横たわった私の世話を焼いてくれている。

「ごめんね、なんか・・・」

「いえ、元はと言えば俺のせいでもありますし。気にしないでください」

「・・・ん。ありがと」

水を一口口に含むと、ボフッとまた枕に突っ伏した。

「・・・あの人、いつもああやって来るんですか・・・?」

しばらくして中村君が小さな声でそんなことを口にした。

「・・・・・・」

私は寝たふりを決め込んで何も答えなかった。
彼はそれ以上何も言わなかった。


・・・どうして司はあそこまで私に拘っているの。
毎日毎日あれだけ時間を割いて、仕事は大丈夫なの?
話を聞いてあげなければ永遠に待ち続ける気なのだろうか?

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