サヨナラからはじめよう
そんなことを考えているうちに、
やがて深い眠りの世界へと誘われていった。


「おやすみなさい、涼子さん」

中村君のそんな声が聞こえた気がする。








またあの夢を見た。

誰かと幸せそうに笑っている夢。
いつも相手の顔は見えそうで見えない。

一体誰とそんなに幸せそうに笑ってるの・・・・?







中村君は明け方に帰ったようだった。
当然ながら私にはそんな記憶は全く残っていない。
テーブルに残された置き手紙で初めてそのことを知った。







だから、マンションを出た彼を司が待ち構えていたことなんて、
それから二人がどんな会話をしたのかなんて、

私が知るはずもなかった。


< 152 / 280 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop