サヨナラからはじめよう
「・・・・あれから、大丈夫でしたか?」

「え、何が?二日酔いならご覧の通りもう大丈夫だよ」

何のことか全く検討がつかない。
それでも中村君の顔が妙に真剣なことを不思議に思い記憶を辿る。
そこでハッと一つの可能性を思い出す。

・・・・司だ。

そうだ、中村君も司と会ったんだ。
だからあの日部屋まで送ってくれたんだった。

「大丈夫だよ。何も問題ない」

「・・・・本当ですか?」

「・・・・なんで?」

何かを含んだような彼の表情に私は訝しく思う。
私の言葉に中村君はハッとしたような顔をして慌てて首を振った。

「いえ、すみません。ただの嫉妬です。しつこく聞いてすみませんでした」

「色々あったと言えばあったけど、もうほんとに終わったから」

「涼子さん・・・?」

「もうあいつが来ることもないから」

そう言ってニコッと笑うと、私は考え込む中村君を置いて自分の席へと戻った。

そう、もう終わったのだ。
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