サヨナラからはじめよう
週末、司がうちに来ることはなかった。

またインターホンが鳴り続けるんじゃないかとビクビクしていたけど、
結局一度たりとも鳴ることはなかった。


中村君と一緒のところを目の当たりにしたのだ。
彼がどういう目的で私のところに来ていたかはわからない。
それでも私からあれだけ拒絶され、おまけに男と体を寄せて家の中に消えたのだ。
そんな場面を目の前で見せられればもういい加減諦めもつくというものだろう。

もともとあいつは中村君を「そういう相手」だと思ってる。
私がそう仕向けたのだから当然だけど、その上であんなことがあったのだ。
あの後私たちがどうなったかなんて、司の頭の中で辿り着く答えは一つしかないに決まってる。



軽い女だと思われた。



別にあんな男にどう思われようと痛くもかゆくもないけど。
ないのに・・・・


胸に残るこのモヤモヤは一体何なの。


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