サヨナラからはじめよう
目の前に横たわるこの男、


南條司 28歳


大学の先輩で、司の卒業前に告白されて付き合った元カレだ。

在学中からもてていたが、意外にも身持ちは固かった。
見た目はお世辞抜きでもいい男。長身にまるでモデルのようなスタイルの良さ。
そしてその端正な顔立ちに、ハエのように周りにたかる女は後を絶たなかった。
だが、上手くあしらうばかりでどの女も相手にすることはなかった。

そんな彼が何を思ったか卒業目前に告白してきたのだ。

「あの・・・どこかの同姓同名の人と間違えてませんか?」

思わず口にして大笑いされてしまったほど、まさに青天の霹靂だった。
そんな涼子だから好きになったんだよと言われ、いい男にそこまで言われて断れる女などいるはずもない。女にだらしないわけでもなかったし、一つ返事でOKした。


だがそれは悪夢の始まりに過ぎなかった。


つきあい始めてから奴は変わった。
あれだけ身持ちが固かった男が、全く真逆の人間になってしまったのだ。
度々女と遊んだ痕跡を隠しもせず堂々としていやがった。

学生時代あれだけもてても女になびかなかったのに、彼女ができた途端遊び人になるってどういうことだよ?普通は逆じゃないのかっ!!!!


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