サヨナラからはじめよう

「この先を右かな・・・」

電車で3駅移動した先は、最近マンションなどが次々に建てられている人気のエリアだった。
駅周辺はとても賑やかなのに、5分も歩けば急に閑静な住宅街が広がってくる。

手紙に入っていた住所を頼りに目的地を探す。

「ここがこの番地だからもう少し先・・・・・・って、あれかな」

視線の先にはいかにも最近出来たばかりだとわかる綺麗なマンションがあった。
周辺にあるマンションよりも格段にデザインがお洒落で、
そこを通る人が思わず立ち止まって見てしまうような外観だ。
見た感じせいぜい10階建てくらいだろうか。
階数こそそこまでないが、見るからに高級マンションだとわかる。


「ふぅ・・・・・・・よし」

一度大きく深呼吸すると、気持ちを引き締めて歩き出した。

手紙の指示にあった通りエントランスでカードをかざして暗証番号を入力する。
ピピッという音と共にドアが開いた。
こんな高級なところなんて全く縁がないからなんだか気圧されてしまう。
内心ビビリながら中へと足を踏み入れた。
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