サヨナラからはじめよう
「だいたい司が悪いんだよ？私はもう駄目だって言ったのに昼間からあんな･･･」

「だって涼子が可愛いからどうしても止められないんだ。涼子のせいだよ」

「は、はぁっ？！何言ってるの！」

「････ほんとは涼子だって気持ちよかったんでしょ？」

「なっ･････！！！！！」

舐めるように耳元で囁かれ、一瞬で全身が粟立つ。それと同時に真っ赤に染まった私を満足そうに司が見下ろしている。ギロッと睨み返した瞬間、チーンと音を立ててエレベーターが開いた。

「さ、行きましょうか、お姫様？」

したり顔でニッコリ笑って手を差し出すこの男が本当に憎たらしいっ！


「お出かけですか？いってらっしゃいませ」

「はい。ちょっと人と会ってきます。いってきます」

にっこにこ顔の司とぶーたれたままずるずる引き摺られていく私を、コンシェルジュの山本さんが今日も爽やかな笑顔でお見送りしてくれた。
私たちのこんなやりとりにもすっかり慣れてしまったようだ。
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