サヨナラからはじめよう
「でもぶっちゃけどうなの?やっぱ相当もてるんでしょ?」

ズイズイっと体を寄せて答えを迫る。
うわ~、至近距離で見るとますますいい男だわ。
眼福眼福。

「・・・まぁ、それなりに」

「遊びまくってる?ブイブイ言わせてる?」

「ちょっと、涼子さん酔いすぎ」

「いいから、どうなのよ~!」

勢いのまま腕を掴んでぶんぶん揺らす。
中村君は困ったように溜息をつくと私にデコピンをしてきた。

「ったぁ~~!!」

「涼子さんがむやみやたらに触るからでしょ。危機感なさすぎ」

「ちょっとぉ中村っ!先輩に何すんのよ・・・ぶっ!」

「先輩なら先輩らしくこんなにベロベロに酔っ払わないでください」

膨らませた頬を両手でブッと挟み撃ちされ、さぞや不細工になっているに違いない。

「・・・俺、遊びとかそういうのはもう卒業したんです」

「え?」

「仕事も、・・・恋愛も、そろそろ真剣にいこうと思ってます」

そう話す中村君の顔はとても真剣で、思わず見入ってしまうほどだった。

「そ、そう。上手くいくといいわね。応援してるわ」
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