サヨナラからはじめよう
「私初めてできた彼に浮かれてたんだろうね~。冷静に見れなくなってて。同じ事繰り返されても結局許しちゃって。でもそのうち急に夢から覚めたっていうか。だからもう男とかはいいの~!」

「涼子さん・・・・・・・涼子さん?」

これまで自分の中で溜まってたことを吐き出すと、
急激に眠気が襲ってきた。
あ~いい気持ち。
このまま余計なことなんて何も考えずに寝てしまえばいい。



「涼子さん?・・・寝てる。全く、世話のかかる先輩だよ」

中村は慣れたように涼子の荷物をまとめてお勘定をすませると、
体を支えるように外へ出てそのままタクシーへと乗り込んだ。


「きっといい男が近くにいますよ」


隣ですやすやと眠る涼子に向かってそんなことを呟いていたなんて、
当の本人は夢にも思っていなかった。
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