サヨナラからはじめよう
シャワーを浴びて幾分すっきりした頭でリビングに行くと、
思案顔でソファーに座る司の姿があった。
人の気配に気付くと弾かれたように顔を上げ立ち上がった。

「あっ、さっきはすみませんでした」

「もういいから。同居人がいるのにノックもせずに入った私にも問題があったし」

ガタガタと冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出す。

「でもなんで今日は朝風呂だったわけ?いつもそんなことしないでしょ」

そう言われてあいつは顔を歪めた。
困っているような、悲しそうな、何とも言えない顔をして。

「あの・・・夕べ涼子さんが遅かったから心配で・・・それで」

「えっ、まさかずっと起きて待ってたの?」

「・・・すみません」

「いや・・・別に謝る必要はないし。でも私が遅くなっても何も気にせず勝手に寝てていいから」

「・・・でも・・・」

「私たちは何の関係もないでしょ?ただの期間限定の同居人」

「・・・・そうですね」

今にも消え入りそうな声でそう言った。
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