サヨナラからはじめよう
「それって・・・・・・」

「いわゆる大人の付き合いってやつ?私恋人とかいらないし。こういうのが一番楽なの」

自分でも驚くほどポンポンと嘘が口をついて出ていく。
大人の付き合い?
楽?
おかしすぎてへそで茶沸かせちゃうわ。

あれから誰一人と付き合ったことすらないくせに。

それでも司にそれを知られるのだけは嫌だった。
くだらないプライドかもしれない。
わかってる。
どうしようもないバカだとわかっていても、止められなかった。


司は俯いて何かに耐えるようにグッと唇を噛んだ。
しばらくして悲しみに満ちた顔を上げると口を開いた。

「そんな・・・・そんなことはやめてください!」

思っても見なかったことを言われて呆気にとられる。
一体何を言ってるの?

「涼子さんにはそんなこと・・・駄目です!絶対に。もっと、・・・・・もっと自分を大切にしてあげてください・・」

そう言う司は今にも泣きそうだ。
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