サヨナラからはじめよう
昨日はあれから散々うろついてから家に帰った。
気が付けば雨が降っていて、ずぶ濡れになっていた。
でもそんなことはもうどうでもよくて。

とにかくあいつと二人きりになるのが苦痛だった。
どんな顔をして会えばいいのかわからなくて。

ただただやり場のない感情に苦しめられていた。




バタバタバタガタンッ!

『っ涼子さん、本当にすみませんでした!僕・・・ってずぶ濡れじゃないですか!早く拭かないと・・・』

結局家に帰ったのは日付が変わる頃だった。
あいつはずっと私の帰りを待っていたらしく、
小さな物音一つで慌てて飛び出してきた。

ひどく焦って苦しそうな顔で。

『涼子さ・・・・』

そんなあいつの横を無言で通り過ぎると、
一度も顔を見ることもなく部屋へと入った。

あいつの苦しそうな顔を見たくなかった。
まるで自分が悪いことをしているような、
そんな理不尽な罪悪感を感じるのがもう嫌だった。
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