好きになったわけ
そしてまるで見計らったかのようにタイミングよく、教室の扉が開かれた。
驚きと焦りに似た感情が一気に押し上げてくる。
まさか……いやそんな偶然って……
自然と首が扉の方へと向く。
入ってきたのはクラス担任の村山先生と



篠原有希だった。





「みんな、休み時間に悪いな。彼女が先週伝えた転校生の篠原有希さんだ」

「よ、よろしくお願いします!」

少しぎこちない感じで彼女は挨拶をした。
その容姿の端麗さもあってか、男子からは歓迎と喜びの拍手が、女子からは同性から見てもやはり美少女に映るのか、羨望の眼差しと『可愛い〜!』などという声が送られていた。
そんな中僕はというと、あまりに出来事に口をポカンと開けたまま硬直していた。
すると篠原さんの方も気がついたのか、

「あ、一瀬くん!」

と声をかけてきた。それが引き金だった。

「一瀬が声をかけられた……だと」

「転校生なのに顔見知りなの?」

「おおぅ!?後で詳しく話聞かせろや!」

「速報、一瀬が転校生をたぶらかしていたことが判明」
< 11 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop