向こう側
あの手であたしが踏み出せない向こう側に引っ張って欲しい。

引っ張ってもらえたら踏み出す勇気がもらえる気がする。



って、仕事中だっつの、あたし。

やばい、にやにやしてたかも。


自分に喝を入れ、仕事を再開させる。


「あ、川合さん」

「なんでしょうか、課長」

定時まであと1時間。いやな予感しかしない。

「悪いけど急ぎの書類なんだ」

月曜日の昼間くらいに出してくれるかな、と

悪魔な微笑みと一緒に書類の束。
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