恋愛奮闘記
stage.15




迎えた日曜日。



嬉しいことにお店は朝から忙しく、私もバタバタと動き回っていた。

こんな日は時間が過ぎるのが早い。
しんどいけれど、こんなにも忙しいのは幸せなことだと思う。

美容師は食事が不規則だとはよく言うけれど本当にその通りで、お昼ご飯を食べれる日は少ない。
朝食べて、次の食事が夜の11時なんてことはわりと普通だったりする。

お昼頃にはぐーぐー鳴っていた腹の虫も、夕方近くなるとピークを超えるのか全く鳴らなくなるから不思議だ。

今日はどこに行くんだろう。
早坂さんは明日も仕事のはずだからあんまり遅くならないようにしなきゃ。



だけど物事は何もかも上手くはいかない。

早く帰りたい時に限ってトラブルはつきものだ。



「あの、矢野さんちょっといいですか」

「何?どうしたの?」

「今日の午前中に来たお客様がカットの訂正をして欲しいらしいんですけど…今から来たいそうです」

「え…」

こういうことはたまにあるけどやっぱりショックだ。その時は全力を尽くしても、お客様が納得しなかったら私のミス。

「お名前は?」

「山下さんです」



< 164 / 200 >

この作品をシェア

pagetop