【完結】ホイクメン!
信明にとって、葵さんはずっと“先輩”のままだった。




「高校生と短大生・・・。

立場も違うし、お互い進学や就職で忙しくなって・・・。

きっとお互いにストレスも溜めていたんだよ。」




付き合って1年が経つ頃、信明は札幌の美術系の大学を受験するため必死に勉強を始めていた。


そして葵さんは就職活動に追われ、その甲斐あって小樽市内の保育園に就職が内定していたようだ。




「お互い忙しくなって、そのイライラから些細な事でケンカして・・・。

いつもならチャリで葵を送っていたはずなのに、あの日に限って俺は彼女を1人で歩かせた・・・。」




信明が高校3年生の9月下旬。


彼は夏休みが終わり本格的な受験勉強を始めていた。


葵さんは市内の幼稚園で実習を行っていた最中だったが、7月に実習に行った保育園からもう就職のオファーが来ていたらしい。
< 316 / 485 >

この作品をシェア

pagetop