天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ~宝石王子とあたしの秘密~
「でもダイヤモンドの鑑定は『ノーマルカラー』のみが対象だ。いかに無色に近いか? が鑑定基準だよ」


 色判定の基準になる、マスターストーンと呼ばれる石がある。

 このマスターストーンの色味に従って判定されたダイヤが、アルファベットのDからZまでの等級に分けられる。

 最高評価はD。それから順に評価が下がっていって……


 D・E・Fが、無色。

 G・H・I・Jが、ほぼ無色。

 K・L・Mが、僅かな黄色。

 N~Rが、非常に薄い黄色。

 S~Zが、薄い黄色。


「そんなにハッキリと黄色味って出るもんなんですかー?」

「一般的にエンゲージリングとしてよく出回ってるクラスは、D・E・Fの無色だよ。だから黄色味の強い石は、あんまりお目にかからないかな」


 Gカラーの無色度だって、なかなかのものだ。

 よほど見慣れている人でない限り、上位クラスとの判別なんて無理だろう。

 ちなみにKクラス以降のダイヤモンドについては、鑑定書に色を表す記述が添えられる。


「そして次は、クラリティの透明度。インクルージョンとブレミッシュが指標となる」


 インクルージョンとは、ダイヤモンドの中の内包物やヒビ割れなどの事。

 ブレミッシュとは、ダイヤモンドの表面の引っかき傷、穴、欠け目、研磨時の傷などの事。

 当然、このふたつが少なければ少ないほどに高評価。暗視野照明の元で10倍に拡大して鑑定される。


「GIA基準の場合、クラリティは11段階評価だ」
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