天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ～宝石王子とあたしの秘密～

　勤め始めてほんの三日で、それは実証された。

　とにかくもう、詩織ちゃんの話すことと言ったら……


　高校時代に自分のファンクラブがあって、煩くて嫌だっただの。

　学園祭で自分の写っている展示写真が盗まれて、気持ち悪かっただの。

　友だちが自分のアドレスを勝手に他人に教えて、知らない男からメッセージが届いて迷惑だっただの。


　そういう話を、さも嫌そうな顔をしながら（ここ重要ポイントね）、非常に弾んだ声で延々と話し続ける。

　うーむ。あまり同性に好かれるとは、お世辞にもいえないタイプの同僚さんに当たってしまったなぁ。


　まあ、どっかで幸運を引き当てれば、どっかはハズレを引くものよね。

　あたしはそれを身に染みて良く分かっているし。

　それに彼女の可愛らしさに対しては、ほとんどコンプレックスなんて感じていないし。


　だからといって、あたしが詩織ちゃんを凌ぐ美人なわけでは決してない。

　それは自覚してる。ものすごく自覚してる。嫌というほどに思い知っている。

　ただ、あたしには……

　詩織ちゃんクラスでは到底、まったく太刀打ちできないほどの、絶世の美女の姉がいるからだ。