天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ~宝石王子とあたしの秘密~
 運ばれてきた料理をいただきながら会話は弾んだ。

 内容は当然というか、やっぱりというか、宝石関係の事ばかり。

 晃さんは目をキラキラさせて、次から次へと色んな知識を教えてくれた。

 好きな宝石の話だし、勉強にもなるしで、こっちもどんどん話に引き込まれていく。

 目を丸くして驚いたり、興奮したり、笑ったり。

 最初の緊張感はどこへやら。気が付くとあっという間にデザートになっていた。


 その時点で、急に晃さんは我に返ったように話を止めてしまう。


「ごめん、またやっちゃったよ」

「え? なにがですか?」

「つまらなかったろ? でも話し出すと夢中になっちゃって止まらなくなるんだ」


 頭を掻いてちょっとションボリした様子が、可愛くてなんだか可笑しい。

 でも今日の話も、いつもの講習も、あたしはとても面白かった。

 だからお世辞じゃなく、この気持ちを素直に伝えた。


「あたしは晃さんのお話、とても面白かったです」

「え? そ、そう?」

「はい。色々勉強になったし、なによりもすごく楽しかった」

「…………」

「今日は誘ってくれて、本当にありがとうございました」


 すっかり緊張の解けた、素直な笑顔でお礼を伝える。

 晃さんはそんなあたしをじっと見つめて、あの、爽やかな笑顔を見せてくれた。
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