天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ~宝石王子とあたしの秘密~
 ふうん。つまりそれほど遊色効果ってのが、オパールでは重要な位置を占めているのね。

 炎が揺らめく、かぁ。そのファイヤー・オパールっていうの、さぞかし綺麗なんだろうな。


「地色が黒色のブラック・オパールもすごく綺麗だよ。その分、値段もすごいけど」

「とってもお高いんですか?」

「うん、とってもお高いねえ」


 晃さんはおどけたような声で笑って答えた。


「石の大きさや遊色の出具合にもよるけどね。天然の良質な石は高価だよ。だから薄いオパールの下に、別の黒色の石やガラスなんかを貼りつけた商品もあったりする」

「そんなのがあるんですか!? そんな張りぼて商品、許されるんですか!?」

「そういう加工品だということを知ったうえで、安価な土産品やアクセサリーとして、割り切って購入するならね」


 安価なアクセサリー。加工品。

 晃さんの講習を受けるようになってから、よく聞くようになった単語。

 …………。


「ねぇ、晃さん。晃さんは宝石の人工処理ってどう思いますか?」

 あたしは思い切ってそう聞いてみた。
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