天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ~宝石王子とあたしの秘密~
真珠のように、痛みを内に
 晃さんとの食事のあと、家に帰った私は、さっそくエメラルドの指輪を指にはめてみた。
 うーん、多少キツイかな? でもまあ、それは仕方ないか。
 もちろんサイズ直しもできるけど、切断したりの作業を指輪に加えたくない。
 この指輪は特別な指輪なんだもの。このまま、手つかずのままがいい。
 はめた指輪を上から眺めたり、左右から覗き込んでみたり、減るんじゃないか?ってくらい眺めたけど、ぜんぜん飽きなかった。

 うぅ、顔がニヤケてしまうのを止められない。
 指輪ってすごい存在感。透き通るグリーンの輝きを纏った自分の指を見ていると、なんだか自分自身がグレードアップしたような気になってくる。
 心がウキウキと華やいで、劣等感で充満している私の内部に自信が生まれてくるんだ。
 凄いな。これが宝石の持つ力なのね。まるで魔法みたい。
 この指輪は一生大切にしよう! 私の宝物よ!



 次の日から私は、エメラルドの指輪を身につけて出勤した。
 自宅に保管したまま指輪と離れ離れになるのが寂しかったからだ。
 といっても指にはめるわけじゃなく、プラチナネックレスに通して、ペンダントトップみたいに首から下げている。
 だって指にはめたまま仕事をすると、エメラルドに傷がつきそうで恐ろしくてたまらない。
 リングの部分がツヤ消し加工じゃなくてツルツル光沢しているから、ウッカリ傷がついたらすごく目立つ。
 そうなったら立ち直れなくなりそうだった。
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