天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ~宝石王子とあたしの秘密~
「まあ、羨ましい。仲がよろしくていらっしゃるのですね」

 栄子主任の穏やかな笑顔につられて、ご主人も照れたように笑顔を見せた。

「銀婚式の時には、女房には何もしてやらなかったもんでねえ」
「今年こそは絶対にって、去年からずっと催促してたんですよ」

 奥様は嬉しそうにニコニコしてる。
 そんなご夫婦の前に、私と栄子主任は真珠の商品を並べた。
 ネックレス、ペンダント、ピアス、リング、ブローチ。お値段も種類も様々だ。

「まあ! 白や黒だけじゃなくてピンクや銀色や金色もあるのね!」
「はい。母貝の種類によって様々な色の真珠ができるんです」
「真珠の良し悪しって、どう決めるのかしら?」

 奥様の質問に、栄子主任がよどみなく答える。

 "巻き"と呼ばれる、長い時間をかけて育てた真珠層の厚み。
 "てり"と呼ばれる、真珠層の結晶の滑らかさによるキメ細かい光沢。
 "キズ"と呼ばれる、真珠にできる窪みの少なさ。
 そして形は一般的には真円に近いほど良いとされている。

「つまり大きくて、真ん丸で、ツヤツヤしたのが良いの?」
「はい。ですがバロックパールと呼ばれる円以外の形……例えばドロップ型のようなものは価値も高いですし、窪みは本真珠の個性のようなものですから」
「色もたくさんあるしねぇ」
「コンクパールという、非常に希少な真珠もございます。表面が火焔模様なんですよ」
「まあ、そんな真珠もあるの!?」

 声を弾ませる奥様に、隣の旦那様が慌てた声を出した。

「おいおい、やめてくれ。そんな高級品、とても手が出ないぞ」
「わかってますったら」
< 80 / 187 >

この作品をシェア

pagetop