気がつけばいつも、キミだけを。





「ほら、行きなよ。
僕の分まで幸せになってもらわなきゃ怒るからね」





そう言った河本くんの声は少しだけ掠れていた。


私の体を反転させ、背中をポンッと押す。




その勢いで私は走り出す。






ありがとう。



心の中でもう一度、お礼を言った。









「大好きだったよ……」



背中越しから微かにそんな言葉が聞こえた。










< 366 / 391 >

この作品をシェア

pagetop