【完結】Re-love 〜二度目の恋はあなたと〜
「きゃぁぁぁぁぁあ!!!」
杏子は健一の腕をしっかり掴んで、恐怖に耐えていた。
お化け役が急に出て来た時に、あまりの怖さに健一に抱きついていた。
―――えっ!
健一は、突然の出来事に動揺していたが、ゆっくり腕を杏子の背中に回し、片腕で髪を撫でた。
「大丈夫。俺が守ってやるから・・・」
無意識に出た言葉と行動に健一自身も動揺していた。
「ありがとう」
胸の中で呟く声は小さかったが、健一の耳にしっかりと届いた。
「早く出るぞ」
杏子の手を引き、出口を目指した。
「はぁ・・・やっと終わった」
1時間近く暗闇とお化けの恐怖に晒されていた杏子にとっては、外の明るさは救いそのものだった。
「お前さ、『きゃーきゃー』うるさすぎ!」
健一は、両手を耳に当て、「あーあー」と声を出した。
「だって怖かったんやもん。やっぱり男の子は怖くないもんなん?」
「はぁ?あんなもんで怖がってたら、好きな女も守られへん」
しらっと言う健一に杏子は固まっていた。
『たくさん守る女の子いるもんね!』
健一は厭味の一つでも言われると思っていたが、杏子は黙ったまま健一を見つめていた。
予想外の反応に耐えることができなくなった健一は、話を変えようとした。
「なぁ、次どうする?」
「あっ、あぁ・・・何か飲みたいな」
キョロキョロと周りを見ながら杏子は言った。
「お前、叫びすぎで、喉渇いたんやろう?」
「ち、違うもん」
拗ねるようにしてそっぽを向いた杏子の横顔を見ていると、こんないろんな表情を見せてくれるなら、ずっとこのまま隣でいたいと思った。
―――拗ねた顔も喜ぶ顔も・・・全て見たい。
「じゃあ、あそこのベンチ空いてるから待ってて。何がいい?」
「えっとね、オレンジジュース」
さっき膨れていた杏子の顔が、一気に笑顔に変わった。
「子供みたいやな」
健一は、鼻で笑うように言った。
「ふん。悪かったね!」
さっきの笑顔が消えて、再び膨れ面になったのを見て、健一はジュースを買いに行った。
「えっと、オレンジジュース・・・」
オレンジジュースと自分の分のコーラを買って、杏子待っている場所に戻ろうとした。
その時、杏子と目が合ったが、すぐに逸らされた。
―――なんだ?俺のこと見てたのか?
自惚れかもしれないがそれでもいい、少しでも自分のことを見ていて欲しいと健一は思っていた。
少しでも早く戻りたくて、健一は早足で杏子のもとを目指した。
「はい。オレンジジュース」
「あ、ありがとう」
健一から目を逸していたからか、健一が近づいてきたのがわからなかったのか、少し動揺しているようだった。
オレンジジュースを受け取った時に触れた手が俺の緊張を誘った。
杏子は、ジュースを一口飲むと、「はぁ~」と息を吐き出していた。
「生き返ったか?」
健一の言葉に満面の笑みで、「うん!」と応える杏子の笑顔に健一は再びドキドキさせられると同時にホッとした。
―――やっと笑ってくれた。
健一は、久しぶりに見た杏子のえくぼに安心させられた。
―――お前は本当に俺のことを覚えてないんか?
「なぁ、こんな所にいたら、子供の時のこと思い出さへん?」
健一は、思い出して欲しくてカマを掛けた。
「そうやね。よく来たなぁ。ってあんたの子供の時って想像できへんし。
どうせ、憎まれ口をたたく、憎たらしい、自信満々の子供やったんやろうなぁ〜」
「お前、またお化け屋敷に入りたい?」
健一の冷ややかな声に杏子は背筋を伸ばして、「遠慮しておきます」 とだけ答えた。
―――ほんまこいつ覚えてないんかよ?俺なんて眼中にないって感じやったのか?
健一は、自分自身が情けなくなってきていた。
そんな健一の気持ちなんて知らない杏子は、周りの賑わっている様子を眺めて、微笑んでいた。
「久しぶりに来ると、楽しいもんやね〜」
「えっ?」
―――今、楽しいって言った?俺と一緒に過ごしてても嫌じゃなかったってことか?なぁ・・・男って単純やから、そんな言葉一つで期待してしまうで?いいんか?