縁は異なもの
普段使ってる校舎とE組の校舎との間は1つの渡り廊下しかない。入学式の時、この渡り廊下だけは絶対歩いては行けないと担任から言われたのに私は歩いている。




「春ちゃん、もう学校には慣れた?」

「……は、はい」

「そっかー!良かった!」




目の前を歩く人は楽しげに聞いてきて、笑顔で返してくる。いつも私の迎えに来てくれる人なんだけど、なんか好きになれない。


ましてや名前すら知らない。






「今日、辰海(たつみ)の機嫌悪いからさー。春ちゃんでなおとか直してよ」




ドキッと、心臓の音が聞こえた。彼の口から聞こえたことが私を地獄のどん底に落とすような内容だった。




「……そうなんですか」

「だから、逃げないでね。春ちゃん逃げたら、アイツもっと機嫌悪くなるから」




彼はまた笑顔になる。私は何回見てもこの顔が怖くて仕方ない。心の底から笑ってないのが分かるから。



彼はそう言うと私の頭をなでてきた。


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