秘密が始まっちゃいました。
「もう一回言います。次はありません!わかりましたね?」


「はーい、モッチーの言う通りに致します」


「変なアダ名をつけない!」


私が怒りで湯気を出さんばかりにしていても、荒神さんはニヤニヤしてるばかりだ。
ダメ、こんなの相手にしてたら血圧上がっちゃう。
話は終わったので、勢いよく彼に背を向けた。


「望月」


呼ばれて、非常階段の踊り場を振り返る。
手すりを背もたれにして、荒神さんが私を見ている。


「俺に厳しい女子って、おまえくらいだよ?」


ほほぅ、何と言うモテ男の思い上がり発言。
私はきつーく荒神さんを睨んだ。


「すべての女子があなたの味方とは、思わないほうがいいですよ」


すると、荒神さんが手すりから離れた。
長い脚で一歩私に近づく。
距離は十分縮まり、驚く間もなく、彼の指先が私の頬っぺたをついた。

ぶにゅって音が出そうな指のめりこみ感。
< 12 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop