秘密が始まっちゃいました。
「ねぇ、ラヴィアンローズ東京って知ってる?」


私は隣の席の後輩、真子に聞いてみる。
昼食を終え、のんびりネットを閲覧中の真子が、ぶんとこっちを向いた。


「知ってますよぉ!来年、私の友達があそこで式をあげるんですけど、すっごい素敵なんですって。チャペルからレインボーブリッジやお台場の観覧車も見えるそうです。あと、試食会のお料理が半端なく美味しかったって言ってました!人気あるから、一年半先まで結婚式は予約でいっぱいらしいです!」


真子、力説。
そうなんだ。ま、今回は結婚式は関係ないのよ。


「なんか、食事をそこでって話をされたんだけど……」


荒神さんの名前は出さない。社内であれだけ争ってる私たちが、仲良くお出かけって、なんじゃそりゃだもんね。これまでもあらぬ噂には注意してきたんだし。


「ラヴィアンローズ東京のフレンチなら、本場フランスで三つ星の『ロワゾ』の系列店が入ってるはずですよ!お式の料理もそこが監修してるんだそうです!日冴先輩、いいなぁ~。
で、彼氏とですか?」


「……彼氏じゃない」

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