秘密が始まっちゃいました。




レストランを出ると、そのままホテルも出て、荒神さんは歩き出す。

移動するらしい。私は馴れないパンプスがちょっと不安だったけれど、後ろについていく。

竹芝埠頭までは、それほどかからずに到着し、私の足も靴擦れを作らずに済んだ。そこには大型のクルーザーが停泊している。


「え?なんですか?」


「東京湾クルーズ」


荒神さんがさらっと答えた。


「クルーズって……そんな張り込まなくても!私、美味しいディナーで十分満足ですよ!」


「大丈夫。張り込んでない。大型クルーザーだけど、乗り合いだから、格安なんだよ」


荒神さんはそんなことを言いながら、私の手をとった。ドキンと心臓が跳ねる。
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